【中・高】平成22年度中高入学式 学校長式辞

【中・高】平成22年度中高入学式 学校長式辞

新入生の皆さん、ご入学おめでとうございます。

皆さんは、今 新たな生活に対する大きな期待に心弾ませながら、「中学生になった!」「高校生になった!」ということを、かみしめておられることでしょう。皆さんは今日から桜の聖母学院の中学生・高校生です。全世界の12歳・15歳の人たちの中には、学びたくても勉強する機会に恵まれない多くの人がいることを意識して、学べることの喜びと感謝を忘れずに、新しい学びの段階に進みましょう。

私はよく、私たちが「今・ここで出会っている事実」を不思議に思います。福島県・県北地方には多くの高校生・中学生がおりますのに、私たちは、なぜ「今、ここで出会う」のでしょうか。同じクラスで、同じ部活動で出会うのでしょうか。それは縁(えん・えにし)とも言いますが、神様を信じている私は、単に偶然に出会ったのではなく、人知を超える神様の愛と計らいの出来事だと考えています。皆さん、お互いの出会いを大事に考えて、いい影響を与え合って相乗効果を発揮していきましょう。「あなたに出会えてよかった」といわれる存在になっていきましょう。

今、皆さんの立っている地点は、新たなスタートラインです。そのスタートラインは、友達やクラスメートと競いあうようなスタートラインではなく、各々が世界でたった一人しかいない「自分自身になる」ためのスタートラインです。
皆さんは、この世でたった一人しかいない存在であり、先ほど読まれた創世記の教えによると、命を与えてくださった神様は、あなたの誕生のときに、「見よ!それは極めてよかった」言い、祝福された命です。とっても嬉しいことですね。
皆さんが、一人の人間として、自立して自分を育てていくこれから迎える中学・高校の時代は、自分がいただいている命の中にある使命を発見していくことが大事な仕事です。自分に託された使命は、皆さんの内側からの促し、「こうなりたい!」と思う興味関心や夢と深く繋がっています。ですから、自分と付き合いながら、諦めないで見つけ出していかなければなりません。そしてこの発見は、本気になって「一生懸命になること」「努力すること」「限界を突破するチャレンジ」なしには見出されないものです。全教科・学校行事・部活動・生徒会活動と毎日の学校生活に本気になって対峙するとき、あなたの心がそれに反応してあなたの中の種がささやいてきます。そのささやきをしっかり聴いて判断していきましょう。

「青年期を失う人は、一生を失う」といったのは、ソクラテスでした。今日は皆さんに、「一生懸命になること」「努力すること」「限界を突破するチャレンジ」とはどういうことかを、一人の方を通して紹介したいと思います。
その方は、隻腕(せきわん)・すなわち片腕のメジャーリーガー、ヤンキースのジム・アボット選手です。 アボット選手は右手欠損という状態で誕生しました。しかし、成人したアボット選手は、メジャーリーガーとして野球で活躍しました。信じられますか。しかも、彼はピッチャーです。彼は大リーガーとして、ノーヒット・ノーラーンを達成したとき、こういいました。「不可能を可能にするのは人間の意志のみだ」と。これは、今から17年前の1993年9月4日、インディアンズと対戦したときのことでした。アボット選手は「できるとは思わなかった」と感想を述べました。当時25歳だったアボット選手は、この日、着実にアウトの山を重ねていき、7回表には相手方の選手に三遊間を抜けそうな打球を飛ばされましたが、サードを守る味方の選手の好プレーに救われて、ついに大記録を達成したのです。奇跡的な出来事でした。
ジム・アボット選手は、ミシガン大学時代に日米大学野球選手権大会で日本にも来たことがあります。盛岡市での試合の前に、若い夫婦が、生まれつき右手が不自由な1歳7ヶ月の長男を連れてアボット選手に面会しました。アボット選手は、あどけない坊やの手を握って、夫婦に次のように語ったそうです。「少し大きくなると、この子も悩むかもしれません。でも、決してふさぎこまずに、気持ちを開くように。ひとつのことに最善を尽くせば、必ず道は開けると教えてあげてください」と語ったそうです。
アボット選手は生まれたときに右手首から先がありませんから、野球をするには独特の工夫が必要です。使うグラブは右利きの投手用のものです。グラブを右手に乗せて胸のところで押さえる。左手でボールを投げ終わるとすぐにグラブを左手にはめ、打ったボールが来れば左手で捕る。捕ったボールはグラブごと右脇にはさみ、目にもとまらぬ速さでボールを抜き出して、送球する。幼い時に、父親がボール遊びの手ほどきをしてくれたといいます。重い障害がありながら、野球選手の道を歩もうと決心するアボット少年の悩み、迷いはどれほどだったでしょう。その心境を想像すると、言葉を失ってしまいます。
アボット選手は、メジャーリーグで9年間頑張りました。彼は、「なぜ9年間も頑張れたか」と尋ねられると、「普通の人よりちょっと多く努力しただけです」と話したそうです。アボット選手は、自分の障害を自覚したとき、好きな野球をあきらめるのが賢い選択なのではないかと何度も考えたことでしょう。しかし、それ以上に、片手でも野球をし続けたいという思いと努力がまさっていたことになります。
アボット選手は、大リーグで野球をやりたいという気持ち(目標)が先にあったから,頑張り通すことがでました。皆さんの年齢のときに心に芽生えた夢が、奇跡を生み出す「芽」です。自分の夢を実現するために、あきらめないで努力しましょう。中高時代に大事なのは、才能でなく、努力です。「これでいいのかな?」「もう少し努力できるかな?」と自分に問いかけ、限界突破のチャレンジ精神で頑張りましょう。
そうしていくと、皆さんは、自分は何のために生きるか、何をしたいのか、何を持って社会に貢献していくのかが見えてきて、将来の「なりたい自分」のイメージを持つことが出来ます。
どうぞこれから始まる3年間、または6年間が実り多い日々になりますようにお祈りいたします。特に、学院の保護者である聖母マリア様の祝福が一人ひとりの上に豊かにありますように心からお祈りいたします。

保護者の皆様、お子様のご入学おめでとうございます。桜の聖母学院中学・高等学校にお子様を託してくださいましたご信頼に応えるべく、皆さまと協働して誠心誠意つとめてまいります。
本日はご入学まことにおめでとうございました。